†Orion†〜Nao's Story〜
あ………。
しまった、と、あたしは慌てて口を噤む。
別に悪いことじゃないのに。
口からぽろりと“お父さん”という言葉が出てきて、急に恥ずかしくなってしまった。
「奈緒……」
あああああぁぁぁ。
ほらほらほら~。
もう涙目になってるし。
そして、また言うんだ。
「もう一回……」
絶対に言わない。言うもんか。
「……早くお弁当作ってよ。遅刻するから」
あたしはひどく落ち着き払った態度でそう言うと、泣き出しそうになっているお父さんを残して自分の部屋に戻った。