君のとなり―昼休みの屋上で―
『・・・なんにもないよ?』
「嘘。」
私の嘘を、すぐに見破る裕。



『・・・私ってそんな顔に出やすいのかな・・・。』

「う―ん・・・そういうわけじゃないと思うよ?俺だからわかるの。」
そう言って、裕はニッと笑う。



どこからそんな自信が出て来るんだという気持ちと、確かに・・・という気持ちが上手い具合に混ざり合い、何も言えなくなる私。




それと同時に溢れて出たのは、何故か・・・涙だった。



ツー・・・と、寝転んでいるせいで、瞳から溢れ出る滴はこめかみを伝う。



裕は少し驚いた顔をしたが、すぐに微笑んで私の頭を撫でてくれた。



頭から耳元にかけて撫でる、裕の細くて少し冷たい手が心地いい。


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