准教授 高野先生の恋人

バレンタインの夜だというのに――

羊は山羊を、喰らおうとはしなかった。

美味しい夕食を与え、温かい風呂に入れてやり、寝心地のよいベッドを用意して、

ただただ、丁重にもてなし、かしずいた。

二人で仲良くフワフワの毛布にくるまって、ぴたりと体を寄せ合うと、

羊はけろりとした顔で、さらりと山羊に念を押した。

「今夜は、なんにもしないからね」

「え?」

「さあ、悶々としながら寝てくれたまえ」

「もぅ・・・」

「モー?」

「めぇ・・・」

「よろしい」

なんというか、うまく言えないけれど、私の彼って意外と?男気のある人かも。

< 112 / 324 >

この作品をシェア

pagetop