准教授 高野先生の恋人

彼は、楽しそうに、そしてちょっと得意気に、道中の出来事を話してくれた。

「信号待ちで止まったときに、横断歩道を渡ってる人に指差されたり。

あとね、対向車の助手席の人が気づいて笑ってるのが見えたりしたよ。

けどさ、シートベルトだってちゃんとしてたし、道交法的にはセーフでしょ?」

そんな遊び心のある彼が、私は大好き。

「うん。ぜんぜん、セーフだよね」

「あっ、けど・・・」

「え?」

「チャイルドシードじゃなきゃダメだったのかなあ、ひょっとして」

「えええっ!?ちょっと、寛行さん、まさかフランソワって仔熊なの!?」

「うそうそ、冗談だよ」

「もうっ!」

私はすっかり、彼が織り成す愉快な世界のとりこだった。


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