准教授 高野先生の恋人

同じ文学畑で、彼は大学教員をしていて、私は大学院の学生をしている。

私には彼の欲張りな気持ちがよくわかった。

だって私も学生として後輩として、高野先生にちゃんと認められたいって思うから。

“教師としてじゃなく男として俺を見ろ”

“生徒としてじゃなく女として私を見て”

私たちの場合はきっと、これじゃあ……これだけじゃあダメなんだ。

「私の好意なんて……」

先生としても、研究者としても、そして、一人の男性としても、

「どの“僕”も何も、全部の“僕”に向けられているに決まってるじゃないですか」

私は彼を尊敬し、憧れ、恋している。


男として恋慕われるだけじゃ飽き足らない。

女として甘やかされるだけじゃ物足らない。

そんな身の程知らずな私と彼だから――

だから、一緒にいたいって、隣りに居たい、居て欲しいって思えるのかも。


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