准教授 高野先生の恋人

彼は枕を抱えて転がったまま私を見上げ、静かに優しく微笑んだ。

「僕……まったく、羊先生は白山羊さんあっての羊先生だね」

「白山羊?ん??私、白いの???」

確かに私は、お母さん譲りで肌の色は白いほうだとは思うけど。

「だって、初めに手紙をくれたのは君からだったじゃない?だからだよ」

「あーっ、その“白ヤギさん”かぁ」

もっとも、出した手紙は食べらることもなく、ちゃんとした返事が来たけれど。

それにしても……ん?ってことは??そのお手紙をもらった彼はもちろん???

「寛行さんは黒ヤギさん……って違うなぁ……じゃあ黒ヒツジだ!」

「そんなのいるの???」

「ほら、顔と手足だけ黒いやつですよ」

「モコモコ部分は?毛の色は白いの?」

「たぶん、モコモコの毛は白ですよ」

「えーっ、じゃあ白ヒツジでいいや」

「“じゃあ”ってなんですか……」

「モコモコの黒毛じゃないなら嫌だ」

「そんなアフロな羊……」

「ね?いいでしょ?」

「うーん、いいような微妙なような……」

彼のこだわりどころ?って、ときどき不思議だったりする……。

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