准教授 高野先生の恋人

すっかり面食らって私がパクパクしていると、奥から森岡先生が登場した。

「おっ、いらっしゃい。んなとこで立ってないで早く入んな入んな」

「じゃあ、お邪魔します、と・・・」

寛行さんは、かしこまった様子もなく靴を脱いだけど、緊張気味の私はというと・・・

「ほーら、彼女さんもあがってあがって」

「はい、あの・・・お、おじゃまします・・・」

そうして奥さんに急き立てられるようにして、慌てて靴を脱ぎ、

自分と寛行さんが脱いだ靴をそそくさとお行儀よく並べて玄関をあとにした。


赤ちゃんのいるおうちって独特の雰囲気があるなって思った。

明るくて清潔なのは寛行さんのうちだって同じだけど、やっぱりカラーが全然違う。

お部屋のそこここにある赤ちゃん用品の数々はどれもみんな色鮮やかで賑々しい。

寛行さんのうちは色の数を極力減らすようにしているので落ち着いた静けさがある感じ。

「手、洗わせてもらえるかな?」

遠慮ない様子で寛行さんが森岡先生に声をかけた。

手洗いうがいは私たちの普通の習慣だけど、赤ちゃんがいるならなおさら励行だ。



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