准教授 高野先生の恋人

年度がかわり4月になり、無事に進級した私は修士2年(M2)になった。

M2になり、修士論文を完成させるという大仕事を目の前にしているとはいえ、

昨年の今頃のあの胃が痛くなるような緊張感などはなく

私は忙しいながらも比較的心穏やかに毎日をすごしていた。


実質お試し期間の前期第一週目の授業が終わりぼちぼち履修登録が始まった頃、

私は、久しぶりに母校であり寛行さんの勤務先でもあるF女学院大を訪れた。

しかも、訪問先は図書館でも、研究棟にある先生方の研究室でもなく……

そこは講義が行われる大教室。本日朝イチの授業は1年生必修の近代文学史。

初々しい新入生たちに混じって、私は素知らぬ顔で席についていた。

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