准教授 高野先生の恋人

私たちはまるで作業台のようなテーブルに丸イスを並べて座って話した。

この彼の研究室には、由利先生のとこにあるような立派な応接セットはないから。

もっとも私は図工室のような理科室のようなこの感じがとても大好きなのだけど。

「で?今日の君のご用事は何だったの?」

「えーと、それはですね……」

当初からあった元々の用事というのは、森岡先生の研究室をたずねることだった。

「なんだぁ、僕は森岡のついでかぁ」

「まあまあ、これで機嫌直して下さいよ」

私は珈琲のほかに、今朝コンビニで買った春限定のお菓子をそーっと前に差し出した。

いつもは機嫌を取るのが彼で取られるのが私のほうなのに、今日は珍しくあべこべだ。

「こんなんじゃ転ばないよ、僕は」

「何を意地張ってんですか、もう……」

まったくこの人は、本当は食べてみたくてしかたないくせに。


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