准教授 高野先生の恋人

桜庭さんはわざとらしい残念そうな表情を私に見せつつ言った。

「ボクって親しみやすくないのかなぁ、そんなに味のない男なのかなぁ」

「だって……そうだ!親しみやすく味のある人って並木先生みたいな人ですから」

「あぁ、そう。ふーん、そうきたかぁ。それじゃ何も言い返せないなぁ、ボク」

今度はつんと拗ねたような表情を見せる桜庭さん。

だけど結局、まったく気分を害してはいないらしく、なんだかとても愉快そう。

「しかし鈴木サン、キラキラとかモテモテとかそれじゃあまるで王子様じゃない?」

「えーっ。だって王子様じゃないですか。若殿様でもいいですけど」

「うーん。ボク、普通なんだけどなぁ」

「ぜんぜん普通じゃないですよ……」

まったく、謙遜なのか天然なのかイマイチはっきりしない人だ、桜庭さんて。

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