准教授 高野先生の恋人

私は、おフランス帰りの庶民派王子様?にふさわしい名台詞を捧げることにした。

いつぞや放送していた少女漫画原作の深夜アニメで見たとびきりの台詞を。

「“noblesse oblige”」

「え?」

「今後も素敵な王子様たらんことを」

「“ノブレス・オブリージュ”ね。“貴族の義務”ときたかぁ」

「天に二物以上を与えられし者、選ばれし者の高貴で崇高な義務ですよ」

「そんなの無理だよ。ボクはただのしがない町医者のせがれだよ」

「ま、観念してこれからもお嬢様方に頑張って愛玩されてくださいませ」

私がわざと意地悪くふふーんと突き放した言い方をすると、

桜庭さんは、まいったねって顔をして朗らかに笑いながら肩を竦めた。


そう、この日この時からなのだ――

桜庭さんが、ちょいちょい私に話しかけてくるようになったのは。


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