准教授 高野先生の恋人
4月も下旬になろうという頃。
桜庭さんと真中君と私ときたら――
授業も一緒、お昼も一緒、いつも一緒の三人♪……みたいな。
真中君の話によると、私がいない日は桜庭さんと二人でつるんでいるのだとか。
あんたは舎弟か!?と突っ込みたくなるような真中君の桜庭さんへの眼差し。
確かに、桜庭さんは尊敬すべき先輩だった。
ゼミのとき――
後輩が発表者のとき、たいてい先輩たちはあら捜しといやらしい突っ込みに走る。
けれども、桜庭さんは違っていた。
“その解釈はおもしろいね。もう少し詳しく聞かせてもらってもいいかな?”
“今のやり方もいいけど、アプローチの仕方を少し変えてもおもしろいかもよ?”
桜庭さんの話し方は基本的に対等で、時には後輩に素直に教えを請うことも。
専門は近世の文学や文化の桜庭さんだけど、他の時代の文学にも好奇心旺盛。
おそらく、そんな彼の影響なのだろう。
今年のゼミはとても風通しがよく、爽やかで生き生きとした活気に溢れている。
寛行さんが言ったとおり、私にとって桜庭さんは本当に“良き先輩”になっていた。