准教授 高野先生の恋人
ある日の午後、私は大量の本を抱えて学科の図書室から出てきた。
その様子たるや、たくさんのお膳を重ねて運ぶお女中さんか仲居さんのよう。
しかも、新米のお女中?は歩き方が危ないこと危ないこと。周りの迷惑この上ない。
そのとき――
「鈴木サン」
「へ?」
とりあえず立ち止まると、瞬間、私が両手で抱える本をひょいと誰かが取り去った。
手元に残る本は二冊だけ。塞がっていた前方の視界はすっかりきれいに開けていた。
「そんな女の子の細腕で、無謀だよ」
目の前には本を抱えてにっこり微笑む桜庭さんの姿があった。
私は桜庭さんの好意に甘えて重たい本を持っていただくことに。
「“しのびねぇ”デス」
「“かまわんよ”」
桜庭さんて実はお笑い好きでもあった。
同じくお笑い好きな秋ちゃんが“おもしろい人”と言ったのもなんか納得かも。