准教授 高野先生の恋人

土曜日の午後、新歓読書会の当日である。

会場はフレキシブルにレイアウト変更が可能な文学部1号館1階のセミナー室。

終了予定は15時半で、その後は引き続き茶話会が催されることになっていた。

集まったのは在学生の他にOBやOGの先輩方がちらほら。

参加のOB・OGは大学教員の研究者か中学高校の学校教員とのことだけど――

私はこのY大の縦の繋がりが少し苦手で……だから少々緊張気味。

少しきょろきょろ辺りを見渡すと、寛行さんの姿はすぐに見つかった。

けれども、当然ながらいきなりいそいそ隣に行くわけにもいかず、

駆け寄りたい気持ちを抑えて、私はそこから離れた真中君の隣りの席に落ち着いた。

気持ちそわそわ、ちらりと彼のほうを見ると……目が合った!

ぎこちなく会釈をすると、彼は声は出さずに可笑しそうに小さく笑い会釈を返した。

密やかに心を通わせるこの感じって、なんだかちょっと甘酸っぱい。

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