准教授 高野先生の恋人

沼尾さんはケータイ小説をとにかくもう、けちょんけちょんにバカにした。

「まずはM2の諸君に文句を言いたいですよ、僕は。

こんなの小説じゃないじゃないですか!読書会の作品にふさわしくない!」

ありゃりゃ。言っちゃったよ、この人は。

隣りを見れば真中君が笑いを堪えるのに必死になって顔をひきつらせているし。

まったく、しっかりと司会進行業務を遂行してほしいところである……。


しばらく――


沼尾さんと冬月さんの果てしなく続くような長ーく激しい戦いが続いた。

改行がどうだとか、描写の量がどうだとか。

場面の切り替え、展開のスピード、顔文字や記号の使用、タイトル……。

日頃から犬猿の仲の二人は、ああ言えばこう言うを繰り返し繰り返し、そして――

「フッ、あんな内容スカスカで……」

「恋愛のレの字も知らないくせに!」

「……っ!!」

……もともと勝ち負けの決まる戦いじゃあないはずなんだけど。

あろうことか冬月さんの禁じ手により戦いは終了。

痛恨の一撃を喰らって力尽きた痛々しい姿の沼尾さん。

会場は一瞬しんと静まって、それから非情にも大爆笑となりましたとさ。

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