准教授 高野先生の恋人

寛行さんと地味に隅っこで語らっちゃおうかな?なんて目論見が――

彼はなんだか助教の海津さんと話し込んでいるみたいだし。

真中君は並木先生と沼尾さんという珍しいメンツで喋っているし。

桜庭さんは相変わらず女性に囲まれていてすっかりつかまっているし。

学会の懇親会なんかもそうだけど、私はこういう席が苦手だ。

同じ畑にいるとはいえ、さっと話題を見つけて初対面の人と話すのって難しい。

手持ち無沙汰だし少し疲れてもいたし、私は一人、気分転換に廊下へ出た。

なんとなーく、ふらーっと歩きながら壁に貼られたポスターを眺めていると――

ここにも、あのA市の美術館でやってる現代建築の展覧会のポスターがあった。

寛行さんとお出かけするの楽しみだなぁ。

とりあえず美術館だけど、これからもっと、水族館とか遊園地とか、いろんなとこ……。

まだいつにしようかだって決めてないのに、考えただけで心躍る思いだった。

もちろん、おうちにいるのも楽しいし、たぶんおうちが一番だけど。

でも、たまにはお出かけだって悪くない。

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