准教授 高野先生の恋人
静かな廊下でたった一人、私が楽しい妄想に耽りにんまりしていると――
「鈴木サン」
「えっ」
声の主は桜庭さんで、彼はいつものにこやかな笑顔でこちらへやってきた。
「こんなところで、どうしたの?」
「いえ別に……あ、桜庭さんこそ」
妄想中のへらへら顔を見られたかと思うと、恥ずかしいったらない。
「ボク?ボクはねぇ……君が出て行くのが見えたから」
「へ?」
私を追いかけてきた、ですと?桜庭さん、私に何か用事でも?
「あの何か……」
「なんてね。ちょっと疲れちゃっただけ」
「はぁ……」
ちょっと引っかかりつつ“ま、いっか”と私はあっさり納得した。