准教授 高野先生の恋人

桜庭さんは何故かちょっと自嘲気味に笑いながら、さっと話題をかえてきた。

「それはそうと……ボク、この展覧会、昨日行ってきたんだ」

「あ、そうなんですか」

博士過程3年ともなれば空きコマだらけ。

平日に時間の都合をつけて美術館へ出かけていてもぜんぜん驚きはしなかった。

「すごく混んでました?」

「普通。でも、すごくいい展覧会だった」

「そうですかぁ、よかったですね」

「うん。でさ、会期中にもう一度行こうと思っているんだけど……」

「そんなにおもしろかったんですか?」

「一緒に行かない?」

「えっ……」

今度ばかりは、さすがの私も驚いた。

そしてさらに――

「あっ……高野サン!お久しぶりです」

「ええっ!?」

これまた驚いて振り返ると、寛行さんがこちらをまっすぐに見て立っていた。


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