准教授 高野先生の恋人

寛行さんは今、いったい一人で何を思っているのだろう?

何か気に障ることでも?あのとき……まさか、桜庭さんとのことを誤解してる!?

でも、だったらどうして???

どうして何も言ってくれないのだろう?

なんでちゃんと話してくれないのだろう?

お話し合いで分かり合えるのが、歩み寄れるのが“私たち”のはずじゃない???

こんな風に取り付く島も与えないような一方的な態度、理解できないし納得いかない。

だったら――

思い切って彼本人に言えば?聞けば?今すぐそうすればいいのに。

そう、自分でも思うけど……。

ふと窓を見ると、すっかり日は傾き空はもう夜の闇に染まりかけていた。

よっこらしょっと立ち上がり、閉め忘れていたカーテンに手をかける。

今夜の月は、どんな月かな……?

夕闇迫る春の夜空に、私は一人ぼんやり想いを馳せた。

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