准教授 高野先生の恋人

今夜の月のカタチなんてそんなこと、彼のうちならすぐにわかるのに。

今年の彼の部屋のカレンダーは月の満ち欠けがわかる月齢カレンダーだから。

彼の部屋、彼の匂い、彼の温もり……想うほど切なくて恋しくて、胸がつまった。

どうしてちゃんと話さないのか?それは私とて同じことだ。

とにかく会えなくても、せめてちゃんと話をしよう、理由をきこう。

そう思いなおした瞬間――

まるで以心伝心のように、ケータイが美しいピアノの旋律を奏でた。

それは、今一番会いたくて恋しくて、誰よりも声を聞きたい彼からの着信だった。

私はクイズ王もびっくりな早業でケータイにとびつき通話ボタンを押した。

「も、もしもし!?」

「ごめん、僕ですけど……」

電話の向こうの彼の声は、冷たくも尖がってもいなかった。

けれども、気持ち少しだけ沈んでいるような?そんな感じがした。


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