准教授 高野先生の恋人
約8分後。私のうちに到着した寛行さんは部屋にあがるやいなや――
「ごめん。僕は本当にダメな男なんだ」
そう言って――
「話を聞いてくれないか、フランソワ」
私に背中を向けて、フランソワを力いっぱい抱きしめた……。
オトコとクマのあつい抱擁。
というか、完全に寛行さんがフランソワの胸を借りているような、情けない図。
さあて……。
こんなときこそ、高野寛行の恋人としての私の真価が問われるところである。
私は無謀ながらフランソワになりきって寛行さんの話に耳を傾けることにした。
「どうしたクマ?ぜんぶ話してみるクマ」
まったく、語尾に“クマ”さえ付ければクマ語になるなんて、我ながらなんて安直な。
“文学やってるくせに”と、いつも彼をたしなめてるのに、自分だってダメダメだ。