准教授 高野先生の恋人

寄り道先?は、あまり見所があるとは思えない夜の公園だった。

テニスコートの側にある駐車場に車を止めて、私たちはしばらく園内をぶらぶらした。

この公園、市内ではちょっとしたお花見スポットして知られている。

けれども――

「桜、散っちゃってますね」

「さすがに4月も中旬を過ぎちゃうとね」

今年は二人ともなんだかんだと忙しく一緒に満開の桜を見ることができなかった。

だから、足元に見える舞い散ったあとの花びらたちが、淋しくて残念で……。

ピークには大勢の人を楽しませたであろう桜の木々は、

今はもう若葉がちらほら、つんつん、ぽそぽそ。

私の手をひく寛行さんが、ふと足をとめる。

「ソメイヨシノはもう終わりだけど……」

「え?」

私も遅れて立ち止まり彼の見遣るほうへ視線を移すと――

「枝垂桜!」

「うん。少し咲き始めが遅いんだよね。まだ頑張って咲いてるやつがいてよかった」

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