准教授 高野先生の恋人
ソメイヨシノよりも濃いピンク色をした立派な枝ぶりの枝垂桜。
私たちは少し離れて遠巻きに、その美しい桜をしばらく黙って眺めた。
夜の公園は、まさに祭の後の静けさと淋しさに包まれていた。
そういえば――
「あれ?今日、月って……」
「今日は大潮、新月なんだよ」
見上げると澄み切った夜空に月の姿は見当たらなかった。
人影も月影さえもなく二人きりの私たち。
誰も見ていないのをいいことに、私は彼にぎゅっとべったり抱きついた。
まったく私も彼女らしく振舞えるようになっというか、大胆になったというか。
彼の腕の中はいつだって安心であたたかくて心地いい。
「ずっとこうしていたいです」
「“やべぇ、おまえ超可愛すぎ。俺マジで理性保てねぇかも”」
「もう!なんで俺様先生なんですか!」
彼の台詞にころころくすくす笑いながら、私はさらに彼の胸に頬を埋めた。