准教授 高野先生の恋人

お母さんが腕をふるい、食卓にはそれはもうたくさんの料理が並んだ。

お母さんは初めから寛行さんにお夕飯を食べていってもらうつもりだったらしく、

朝からこつこつと料理の下ごしらえをすませていたのだった。

「お母さん、すごいご馳走だね」

「ふふん、すごいでしょお?」

得意気な顔のお母さんを、お父さんが怪訝そうな顔で見る。

「ユキちゃん、こんなご馳走……まさか明日は一家心中なんてこと……!?」

「もう!務さんは私がお料理頑張ると、いつもそうやってヘンなこと言う!」

「いやぁ、ごめんごめん」

お父さんはお母さんを“ユキちゃん”と呼んでいて、それは子どもの頃かららしい。

そして、豪勢な食事に翌日の一家心中を疑うのがお父さんのお約束の冗談なのだ。

4人で囲む食卓は賑やかで、美味しく楽しく和やかで、

食後には皆で寛行さんが買ってきれくたロールケーキを食べつつお茶を飲んだ。

< 295 / 324 >

この作品をシェア

pagetop