准教授 高野先生の恋人
あくまでも“記念”ではなく“証拠”としての一人写真。
寛行さんがそう言うのには、列記とした理由があったのだった。
「大学一年の時にさ、般教(一般教養)で文化人類学を取ったんだよね。
そしたら前期のレポートが、サル山を実際に見て来て書く課題でさ。
で、ホントに見てきた証拠としてサル山と本人が写ってる写真を添付せよ!って。
あー、あと確か学生証のコピーも添付した気がするなぁ。
何しろ、般教の大人数の講義で学生の顔と名前を全部覚えるのなんて無理だからね。
しっかしさぁ、ホントよくやるよなぁって思うよ、その教授もさ。
おかげで、男子大学生が夏休みに一人淋しく動物園に出かけてさ。しかもだよ、
親切そうな人を見つけて“すみませーん、シャッターお願いしまーす”って。
“必ず一緒にサルかサル山の看板が入るようにお願いしまーす”なんてさ。
まあ今思い出しても、思わず苦笑してしまうおかしな思い出だよね」