准教授 高野先生の恋人

学生時代、大学一年生の18歳の寛行さん。

およそ15年前、私はまだまだランドセルをしょった小学生。

おもしろ半分にちょっと想像をめぐらせる。

もしも――私が偶然にも、その夏休みの動物園に居合わせていたら?

サル山は人気がなくて、周りにシャッターを頼める人が私くらいしかいなかったら?

困り顔の大学生のお兄さんに、カメラのシャッターを頼まれる小学生の女の子。

まったく、怪しいったらありゃしない。

どこか不思議で滑稽なその光景を思い浮かべ、私は一人くすくすと笑った。

「いいですね、その動物園。なんか、すっごく行ってみたくなっちゃいました」

「じゃあ決まり!それはそうと……」

「うん?」

つと口調を改めた彼に、はてな?と思い首を傾げて視線を遣ると、

彼はまた性懲りもなくとんでもないことを、涼しい顔で語り始めた。

「動物と言えばね、連休中に間違って僕の実家に――」

このパターンって……。

彼のことだもの、決して“猫が迷い込んで来た”なんて普通の話であるはずがない。

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