准教授 高野先生の恋人
婚約指輪を“買ってあげたいと思ってるよ”なんて、嬉しくって泣いちゃいそう。
だけど、やっぱり――
「えーと、寛行さん。あの、ですね……」
「ん?」
「私はね、“買ってあげたい”ってその気持ちだけで十分だと思うんです。
だから、なんていうか、その……婚約指輪は必要ないかなって……」
ずいぶん可愛げのない答えだなって思わないでもないけど、これが私の考えだった。
「あの、えと……別にね、遠慮してるとか、ぜんぜんそういうわけじゃなくて。
結婚指輪はともかく、婚約指輪って実際にしてる期間ってわずかじゃないですか。
まあ、デザインによっては結婚指輪と重ねづけして楽しめたりもするみたいだけど。
そうは言っても、仕事中とか日常生活ではちょっとなって思うし。
だからね、婚約指輪にかけるお金があるなら、結婚指輪に余計にお金をかけるとか、
もっとこう別のことにあてたほうがいいんじゃないかなって思うんです。
それに、私には寛行さんがくれたネックレスがあるし。
もうね、それでぜんぜん十分だなぁって、そう思って……」