准教授 高野先生の恋人

待合室は、よーく暖房が効いていて、じっとしてるとぼわんと暑いくらいなのに。

「あの、寛行さん、それ…」

「ん?これ?あっためといたよ」

「は?」

テレビの歴史番組で、主の草履を懐であっためといた家臣の話を聞いたことがある。

寛行さんはひょっとして“平成の木下藤吉郎”なんて呼ばれてみたいのだろうか?

実は“僕は藤吉郎をリスペクトしてるんだ”とか?そういうこと?

「ここ、会計早いからすぐに呼ばれるよ。さあさあ、帰るお支度しないとね」

寛行さんは、私の困惑なんて意に介さず、コートの袖に腕を通すようにと促した。

そして――

自分の首からマフラーをはずすと、私の首に、それをぐるぐる巻きつけた。


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