准教授 高野先生の恋人

今度はちゃんと、マフラーに巻き込まれた髪の毛を両手でふんわり出してくれた。

「ハイ、できた」

「ん」

でもやっぱり、鼻も口もぐるぐる巻きで覆われたまんまで息苦しい……。

「どう?あったかい?」

「ん。あったかいです…」

私は、マスクとマフラーで重ねて覆われた口で、もごもごと答えた。

「よかった。マフラーは人肌が一番」

そんな話は生まれてこの方聞いたことない。

「風邪は首元から引くっていうからねぇ」

いや、もう引いてるんですけどね、風邪。

もちろん、今の私にゃあ、そんなことを突っ込む気力も体力も残ってはいなかった。


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