准教授 高野先生の恋人

車の中は、少し暑いくらい暖かく、遠慮がちな音量でラジオが静かにかかっていた。

寛行さんと一緒にいて緊張していたわけじゃないけど、

何故だろう?こうして一人になったとたん、どこかほっとしている自分がいた。

彼にはもう、私の弱いところや恥かしいところをずいぶん見られている。

だけど、病気で弱っている姿を見られるのは、これが初めてだった。

ふだんはあんなに、べったり甘えて我が侭に振舞えるくせに、

病気のときこそ、たっぷり甘えて、尊大に我が侭になってもよさそうなのに、

頼っていいんだとわかりつつ、やっぱり、心配させたくない気持ちのほうが先行した。

こうして考えてみると、彼の前で無意識ながらちょっと気を張っていたのかも……。

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