恐怖 DUSTER
麻美が自分に向ける視線を交わすように弥生は問いかけた。


「里美は、眠っていたんだよね?どうやって入れ替わる為に必要な感情を手に入れたの?」


里美を見つめながら問いかけた弥生の疑問に麻美が答える。


「里美の場合はね、7歳からの里美に悪夢を見させ続けたのよ」

「悪夢を見させ続けた?」

「悪夢といっても、その悪夢は事故にあった里美の記憶の再生なんだけどね」

「里美の記憶の再生・・・?」


弥生は、千恵の背に隠れている里美を見つめた。


「記憶の再生って?・・・里美は事故に合ったショックからずっと眠り続けていたんじゃないの?」


「眠り続けていたよ・・・事故に合ってから・・・ずっとね・・・」


千恵が思いつめたように言う。


「そして、眠り続けながら7歳の誕生日を迎えて新しい里美の心に入れ替わられてしまい、眠ったままあの暗闇の場所に閉じ込められてしまったのよ」


「・・・私のせいで・・・」


千恵がそう言うと、里美は千恵の手を取り否定した。


「千恵のせいじゃないよ!あの時ね・・・お父さんが運転する車は、トンネルを抜けて急に目の前に遭遇した事故現場を事故車を避けながら走り抜けていたの・・・」


「すぐに止まれる状況じゃなかったから、お父さん走り続けていたの、そしたら前の道路脇に止まって燃えていた車を見て私が叫んでしまったのよ・・・」




「・・・人が燃えているって・・・」




里美の言葉に、その場にいる全員が理解した。




・・・燃えていたのは千恵の妹なのだと・・・
< 100 / 190 >

この作品をシェア

pagetop