海に花、空に指先、地に霞
凪世は本当にすごく目立つ。
しなかやなスタイル、整った容貌。
…何より、存在感。
どんな目線にも、その数にも動じない、しなやかだけど、威風堂々とした雰囲気。
人を引き付ける、何かを醸し出している。
…王様、という単語がほんの少しだけ理解できた。
「沙杏ちゃん、どっか行きたいとこある?」
和モダンなカフェでお茶をして、外へ出たとき。
凪世が私に尋ねた。
日が傾いて、空はもう茜色に染まり始めている。
風もひんやりと冷え始めて、夜に備えようとしていた。
「ん~…じゃあ…」
少し思案したあと、答えようとした。
でも。
私の返事より早く、背後から、女性の高い華やかな声が響いた。
凪、と親しげに名前を呼んで。