海に花、空に指先、地に霞
本当に有無を言わさない、強引さ。
戸惑い尽くしの私は、手を引っ張られたまま、やや早足の凪世に小走りでついていくしかなかった。
…少しして、ようやく歩調が緩まる。
少し、息が上がっていた。
「ね、ねぇ…!凪世!」
「…ごめんね、気にしないで」
再度、手を握り直されて。
強く。
逃がさない、とでもいうように。
「す、する!…いいの?あの人…!」
ふと…凪世がため息をついて、ついでに足を止めた。
何故か、申し訳なさそうに私に言葉を紡ぐ。
「…本当にあんまり覚えてないんだよ。多分…会ったことあるんだろうけど」
「な…!…ひどい!」
多分、私が怒ることじゃ、ない。
それでも…僅かに激昂した。
「そ?向こうも多分、そんな感じだったハズだよ、1回きりの遊び」
やさしく、柔らかく。
いつもの口調と微笑で話す彼は……やっぱり少しだけ、怖い。