海に花、空に指先、地に霞

バッと繋がれた手を振り払う。

それで、今まで、ずっと。

どんなに…凪世の手があったかかったか、よく分かった。

だって離れた途端、手が冷えたから。

……でも、真正面から凪世を睨む。

若干険悪な雰囲気を纏う私たちを、通りすがる人々が興味深そうに横目で眺めていく。

「…さ、…最低…」

「…言われると思った」

私の攻撃は、サラリと苦笑で受け流された。

「囲……、た、…たくさんの…恋人がいるって…そうゆうこと?!」

「……沙杏ちゃん。海、見に行こうか」

「はあ?!」

「海。デートの定番でしょ」

また再び手を取られて。
凪世はスタスタ歩き出す。

私の感情を置いてけぼりにして。

凪世の足は……家の方向へ向いていた。




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