海に花、空に指先、地に霞

私との結婚は…義務だって言ってた。

震える口唇から、素朴な疑問が洩れる。

「す、好きな人……とか、いないの?」

凪世が、キレイな眉を片方だけ吊り上げて、笑った。

「……その質問はどうかと思うけど?」

「だ、だって…!凪世たち…、仕方なく花嫁争奪してるんでしょ?…義務だって言ってたじゃない…」

「……確かにね、地上の花嫁を得るのは当代王の義務だ」

「じゃ、好きな人とか…いたんじゃない?け、結婚したい人、とか」

「……さあね」

「…凪世?」

キュッと。
繋がれた手を引っ張られて。

…抱き寄せられた。

「…寒くない?ここは風が強いから」

「……慣れてるから、平気」

そういいながら。
私は…凪世の鼓動を感じていた。
いつもなら、ちょっと触られただけでも大騒ぎして突き飛ばすのに。

< 107 / 164 >

この作品をシェア

pagetop