海に花、空に指先、地に霞

「………うん。…均衡…なんでしょ」

「本当は……その均衡はすでに危うい」

「え…?」

「空は…あそこはアトリが少年王だしね。彼の出自のせいもあって、玉座を巡る争いがいまだに絶えない」

シンの管理下にある、地底では、…子が生まれにくくなっている。女性が弱体化しているそうだ。

…一旦、凪世が言葉を切る。

初めて聞いた、王家の内情。
初めて聞いた、沈痛を含む…凪世の声。

「……海はね、力を継承できなくなっている」

「え?…でも…」

「王家の血筋であっても水を操る力が低い。王家の証ともいえる、輪廻に携わる力すら、低まっている。…オレは稀な例。だから…直系じゃないのに、王位を継いだ」

直系じゃない…?

「………でも。ちゃんと王様として、仕事してるんでしょ?」

「………まあね。……でも、地上の均衡が崩れるより前に、王家が衰退している」

いつか。
君に見せてあげたい。
海の王国を。
オレの国を。
パッと見は、美しいところだから。

そう言って。
海の王様は、笑う。


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