海に花、空に指先、地に霞



……本当はすごく大変なことなんだろう。
天鳥も、森さんも。
凪世も。

それぞれに…。

「わ、……私が…」

「…うん」

「……私と……結婚…するだけで……」

俄かに。
現実味が帯びてきて。
声が、震えた。

そしてそれは瞬時に見透かされた。

だから、いい終わる前に。
す、と頬に触れられて。
指先まで美しい男が、私の顎を持ち上げた。

「………ん」

今までで一番
…静かな、キスを。

緩やかに口唇を啄むように。
くすぐったいくらい…。
やがて、凪世がゆったりと首を傾けて、その口付けを深くする。

…何だか切ないくらい、甘い。

俄かに、首筋が粟立った。
丁寧に口唇を離されたあと、凪世が私の目を覗きこんで。




「…だから、花嫁が…。……君が欲しい」



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