海に花、空に指先、地に霞



ドクリ、と。
心臓が軋むように音を鳴らした。

こんなに密着していると、真っ直ぐに伝わってしまう。

慌てて凪世の胸を押し退けた。
ヒュウと、途端に体温が下がる。

…海の王は、ただ、静かに微笑みを讃えて。

「…ごめんね。突然こんな話をして」

「…あ、…わ、たし…」

「…いいよ、今答えなくて。でも、覚えておいて。…君は……、…オレを好きにならなくてもいい。……愛さなくとも」

穏やかな声。

…なんでだろう。

やさしい声だった。

でも…すごく…突き放された気分だ…。

オレも君を愛さないから、と言われたような気がした。


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