ユピテルの神話
僕を囲んで座り込む住民をぐるりと見回し、静かにそう聞きました。
昔馴染みの、
見慣れた…僕を追い越して老け込んだ顔ぶれが、穏やかに首を振ります。
「前から言っているだろう。ユラの力は、優しい力だと…」
「今回の事は彼らが悪いのだから…。ユラは悪くない。」
口々にそう話す彼らの中心で、僕は感情を表に出してしまいました。
「――…僕は、僕が怖いっ!!」
…そうです。
皆が好きなのに、
この地の生命全てを大切に大事にしたいのに…
一時の感情で、
僕が世界を傷つけてしまう。
僕が人々を傷つけてしまう…。
そう考えると堪らなく恐ろしく、僕は悲しくて涙を流していました。
「怖い事なんてない。…ずっと、この村に居ておくれ…」
「そうだよ、ずっと私たちを見守って居ておくれ…」
優しい言葉。
穏やかな呪縛…
じゃあ…
僕ガ、僕ヲ…
壊シテシマエバイイ…
二度と「怒り」や「憎しみ」に身を任せないように、
その感情を、
僕カラ消シテシマエバイイ――
そう考えたのです。