ユピテルの神話
半壊した沢山の民家が、雨の中で砂煙をあげていました。
カタカタと崩れる音。
人々の泣き声。
助けを求める声…。
「……ぁ…ぁ…」
亡きロマとの約束を、
僕は果たせなかったのです。
彼が、守ってきたもの。
僕が守ろうとしたもの…。
「……ごめん…なさい…ロマ…。助けて…ロマ…」
僕はその全ての想いを無駄にしてしまったのだ、と…
全てを壊したのだ、と…
立っている気力も無くし、その場に尻をついてしまいました。
ワン…
『…ユラ、…見て。』
目も虚ろに反射的にロマの視線の先を追いました。
『…花。二本だけ生きてた。』
僕の座り込んだすぐ隣の地面。
籠の土ごと放り出された花たちが、ロマが必死に守った甲斐あって生きていたのです。
その土は、
僕たちの涙の雨で…、
大地と融け合っていました。
「………良かった…」
それだけが、
唯一の救いでした。
『…花たち、エマに会える。』
自分は血を流しながら、
それでも無邪気に笑うロマに切なくなり、
ぎゅっと抱き締めました。
――…もう…会えないかもしれません…
言葉には、
出せませんでした。