ユピテルの神話


エマは「ロマ」とも快く友達になってくれました。

初めは彼を『ロマ』と呼ぶ事に抵抗があったようです。
自分の祖父と同じ名前ですから、恥ずかしがっている様な照れた様な…そんな表情をしていました。


「…ユラ、ロマちゃん。見て見て~!これ、何だー?」

「……?」

エマは右手には、白い杖。
左手には見覚えのある籠を持ち、それを僕らの方へ差し出しました。


「…ぁ。それは…」

ワンワン!
『――花たち!!』

それは、
「あの日」、草たちで編んだ籠。

その中には、あの日の様に小さな白い花が咲いていました。


「…その花は…?」

「ふふ。ロマちゃんが運んでくれた花たちよ!家の前に咲いていた二本の花!」

エマはそう言って微笑み、ロマが嬉しそうに尻尾を振ります。

エマは友達です。
彼女には全て本当の事を話していました。


「…村がね、修復でバタバタしてるから。あそこじゃ誰かに踏まれたら可哀想だと思って…、ここに戻そうと思ってね?」

僕らの涙の雨で、
再び村の大地に根を張った…

生き残った、二本の花。


エマは優しいです。
ロマの想いも、
花たちの想いも…
彼女は受け止めてくれました。


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