七罪巡り



人間が犯す七つの大罪。『怠惰』なら『スロウス』、傲慢なら『プライド』といったように、七つそれぞれに罪を司る『罪神』がいる。

それは人間も然りで、全ての人間が七つの罪の中から一つのタイプを生まれ持つ。
それは俺、シノが『スロウス』で面倒くさがり、タキが『プライド』で自尊心の固まり、のように人間の性格、体質などの基礎となっている。


罪神達は普通なら自分のタイプの人間の罪に対する意識をコントロールしているだけで害はない。むしろタイプのままに行動し過ぎないように制御してくれている、『善』の存在だ。

その罪神が今、何らかの原因で暴走を始めている。

タイプの人間に近づき、各々の方法で接触し、暴走させている。例えば俺がスロウスに接触され、暴走したら、きっと布団から起きあがらなくなるはずだ。
自分のタイプの欲望に忠実になる。

暴走した人間を元に戻す方法、今のところ無し。

加えて、そうなってしまった人々は仲間を増やす。同じタイプを見つけては、罪神のように接触して暴走させる。


そうなれば、殺されても誰も文句は言えない。
逆に言えばそうなった人間は殺しても良い。『殺さなければ暴走者が増える一方だから仕方がない』と、罪にも問われない。
国が、人殺しを認めている。

暴走した人間は血液中に特別な成分が見られるらしい。殺した元人間から血液を抜き、それを検査して本当に殺しても良かった人間かどうかを判断するのだという。


そんな検査は政府に任せれば良いものを、タキは自分が医者だという立場からかはわからないが、自分で証明するところまで終わらせている。


「オレ的には弔いのつもりなんだけど」

「最後までやるっていうことが?」


尋ねても答えは返ってこなかった。

きっと嘘なのだろう。

ただ、とにかく殺したい。それだけがタキを動かす理由。
日々殺しに使用しているのとなんら変わりのないメスを使って、患者の命を助けているのだから、殺人への欲求―俺には理解できないが―は積もる一方に違いない。

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