七罪巡り
「シノちゃんすっごい疲れた顔してる」
「そう見えますか?」
「実際疲れてるんでしょ」
はきはきと喋る彼女は、美人で頭が切れる。それに加えて俺の周りではすごく珍しい常識人だ。
地毛かもしれない茶色の髪は、今日も豊富なキューティクルでつるつる(俺の髪とは大違い)
「はい、誰かのせいで。」
「ははっタキに振り回されてんのね」
「笑えないですよ、あの暴君に振り回されたら」
彼女の笑顔につられて少し笑うと、その隙をつかれて手にもっていたメモを奪われた。さっと目を通すと、メモは丁重に折りたたんで返された。
「タキも飽きないよね、まったく…」
「…あ、もう行かせてもらいます、」
言い訳をするのもそこそこに、メモを握りしめてその場を後にした。どうやら俺の周りに常識人が寄ってくる事はないらしい。
彼女の目が、怖かった。
殺しを楽しむタキの目と似た冷たさがにじみ出ていた。
「懐かしいね、タキ…」