〜花魁〜
『今まで…』
「ん?」
『ゴメン…。酷い事…沢山して、辛い思いさせて…ホンマにゴメン。今更、何だよって感じやけど……。』
ホンマに、今更だよな…。
コッソリ、1人で泣く花を見て見ぬフリして
涙を拭ってやる優しさもない男なんて
ホンマに今更やと思う―…。
「辛いのは…あたしじゃなくて、光やろ…?」
『違う!!俺は……』
辛かった…。
空が死んで…、1人になってしまったと言う現実が。
みんながいた事も気づかずに、1人ぼっちだと思ってた…今までが。
支えてくれてる人を傷つけて、大事にしてやれない…醜い自分が。
気付いた時に、行動に移せなかった…弱さが。
「あたしが…いたらさ…、辛いでしょう?」
だから、大人しく出て行ったんだよ?
そう付け加えて言う花は、目を真っ赤にしていて…大きな瞳からは、今にも涙が零れ落ちそうだ…。
「あたし、知ってたよ?最初は…憶測だったけど…。お姉さんの、お葬式の時に確信した。ホンマは…初めて会った時から、光には好きな人がいるって分かってた。1人で悩んでるのも分かってた。助けてあげたいって…支えてあげたいって思ったのに…結局、あたし自身が光を苦しめる要素でしかなかったんだよね?だから…あたしが謝らなきゃいけないんだよ。」
『そんな事…ない!!』
そう言うと、黙って首を横に振る花が…
「分かってるでしょ?」って、ゆっくりと聞いて来た
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