さよならの十秒前
この前と同じファーストフード店。

私と紗枝は向かい合って座った。

「…前、島井に坂井奈緒について聞かれたときね」

「…うん」

「嘘ついた。私、奈緒とはそこそこ、仲良かったんだ」

紗枝はジュースに刺さったストロー辺りをじっと見つめたまま、小さな声で話し出した。

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