さよならの十秒前
修介は言った。

坂井奈緒の死に不審な点がある。

ひとつは、私たちクラスメートが、誰ひとり彼女の死について詳しくないこと。

あのときは、彼女の死に何かが隠されているのではないか、そういう意味だと思った。

でも、違う。

きっと、修介は。

坂井奈緒の死を、忘れられたくなかったのだ。

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