臆病なサイモン
これじゃあリードなんかできっこねぇ。
よし、こっからはサイモンの本領発揮!
「サイモン、ホラー苦手だよね?」
と喝を入れた瞬間、再びダンゴが俺を見上げてきた。
別に付き合ってるとか好きだとかそんなん一切ないのに、なんでこんな緊張するんだろう。
…ヘタレか?
俺がヘタレだからか?
「うん、怖いのやだ」
…ヘタレだからだ。
間違いない。
現に、緊張の「き」すら見せていないダンゴにふらふらついていってるだけの俺。
本領発揮どころじゃない。
普段、会話の手綱すら握れないヘタレ野郎が、初デートのリードなんかできるわけないじゃん。
「サイモンはホラー苦手…」
―――そう、はじめからそんなもの、存在しなかったんだ。
「じゃあ、」
なにより俺は、最大の盲点であり、最大の勘違いをしていたのだから。
「もう、貴方は眠れない(※キャッチコピー)―――「着信拒否4」、学割チケット二枚で」
これは「デート」じゃない……「復讐」、だったんだ。