君に許しのキスを
「それに、何でもかんでも恋愛に結び付けて考えるほど、馬鹿なガキでもねえし。
教師って立場もあるしな。
だから、わからなかったし、わからないふりをしようとした。
混乱したし、お前に腹がたった。
それで結局、一番馬鹿なガキみたいな真似したけど。
…無理矢理キスなんかして、悪かったな。
だけどこれまでで、こんなに本音を晒してしまう人間も、守りたいと思う人間もいなかった。」


俺がそう言うと、彼女は目尻を下げ、微笑んだ。

俺も微笑み、彼女を引き寄せた。


そしてふと、あいつを思い出した。
『本音を晒してしまう人間』。
そういえば、俺にも過去に一人だけいた。
親友と思っていた人間が。
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