君に許しのキスを
彼女を抱きしめていると、不思議なくらいに、力がわいてきて、それと同時に強く、彼女を守らなくては、と感じる。

あの時は出来なかった、『本音を晒せる人間』を守ること。
今度こそはそれを果たさなければ、と。


だからこそ、強く、強く、彼女の身体を抱きしめる。


「大丈夫だ。俺がいる。
俺が守る。」


そう彼女に向けてつぶやくと、小さく肩を震わせた。



ふと部屋の隅に目をやると、洋平が床に胡座をかいたまま、ベッドに顔を埋め眠っていた。
そのベッドの上では、沓宮が、見たことのない穏やかな顔で眠っていた。
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