魑魅魍魎の菊








最早、こっちは祭どころじゃない騒ぎになっている。


御堂から竹林まで結界を張り、スザクの能力である「反実世界」で空間を分離させた。何も関係のない人間に影響が及んでしまう。


そして、俺の結界内ならばすぐにでも「鏡の付喪神・鏡子」が居場所を特定してくれるのだ。





「うらぁああ!!」


「ぐっ——!!」



火花が散り、軽くうめき声を出してしまった烏天狗。漆黒の羽根が艶かしく、錫杖がしゃんしゃんと鳴り響く。



「……おめー等の目的はなんだ、」

「…あなたに言う義理などない」



鴉丸は錫杖を構え直して、漆黒の瞳を細めるのだ。
私は任務を遂行して、菊花様の元へ急がねばならない。



「"風の陣・天狗"!!!!」

鴉丸が錫杖を振りかざせば、竜巻のような突風が吹くのだ!



そして、それに混じった鋭くなった烏の羽根が正影を切り裂く!!



「っ——!!!」

オイオイオイオイ…菊花と一緒かよ?!
間一髪で避けるが、御堂が切り裂かれて巻き添えになった物の怪から血が吹き出す。



(——明らかに殺傷能力抜群じゃねぇかよ!)

しかも、格段に菊花より能力が上だというのが伺える。


 
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